スキ*キライ【1】




「あっ、ごめんね、七瀬日向ちゃん、だよね?有名だから知ってるよ!あたしは佐藤結花よろしく」

先輩を挟んで自己紹介してきた。

「は、はい…。七瀬日向です…」

なにこれ、テンションすごい下がる。

「日向ちゃんってほんとかわいいね〜」

「そうですか。ありがとうございます」

「こりゃ、葉山だけじゃなくてみんなが惚れるわけだなー」

やっぱかわいいなぁ、と
めっちゃ褒めちぎってくる佐藤先輩。

「佐藤先輩も可愛いじゃないですか」

ショートカットが似合う彼女は
えーそんなことないよ!と
まんざらでもなさそうに嬉しそうに笑った。

まあ!あたしの方が100倍可愛いけどね!!!

「そういえば、佐藤こないだ告られたんだっけ?隣のクラスの笠原に」

「え!それどこで聞いたの?はず!」

恥ずかしそうに頬に手を当てる姿は
本当に可愛くみえてむかついた。

「笠原が振られた〜振られた〜って病んでたよ」

「まじか!」

「何で振ったの?好きなやつでもいんのー?」

「えっ、、」

かあっと赤くなりチラッと先輩を見つめる佐藤先輩。

え、まじですか。

「い、いるよ」

ぜ、絶対先輩!先輩のことだ!!

「えっ、あ……い、いるんだ」

なに見つめられて恥ずかしくなってんのよ!!

「せ、先輩!ここ!わからないです!!」

この二人の間に流れる空気が嫌で
あたしは先輩にわざとわからないと言った。

「あっ、うん!どこ??」

「ぎゃ!」

「へ?」

問題を見るために体をぐいっと近づけた先輩。

近いのに驚いて小さく悲鳴をあげてしまった。

「あぁ、ごめんね。じゃあ教科書貸してくれる??」

「は、はい!」

荒々しく教科書を渡すと
佐藤先輩はまじまじとあたしを見てきた。

うわっ、。
恋する乙女の瞳にはわかってしまっただろう。

あたしが先輩に気があるって。

「あれ?日向、ここ、まだやってないんじゃ?」

げっ!

テキトーに指差した問題は
教科書の最後の方で。

まだ習っていなかった!

「ぁぁあっ、バカ!」

「え!?」

「先輩のバカ!!アホ!まぬけ!」

テンパるとすぐ出る暴言に
佐藤先輩はムッとして言った。

「そこまで言わなくて良くない?日向ちゃんが間違えたんでしょ?」

「うっ!」

「まあまあまあ!いいんだよ。日向の暴言なんて可愛いもんだから」

「は、葉山がそういうなら、、いいけど」

「ご、ごめんなさい、」

「いーよ」

そう言ってよしよしと頭を撫でてくれた。

それだけのことなのに、
口元が緩んでしまった。

「は、葉山!この問題できたよ!」

佐藤先輩の言葉のせいで
よしよしタイムが終了してイラっとした。

べつに、特別よしよしがされたかったわけじゃない。
ただ、邪魔し返してきたのが腹立った。

「おおー!やるじゃん佐藤」

「だ、だから…」

顔を真っ赤にして何いう気!?

「さ、佐藤??」

「あたしもよしよしして、!」

思い切って言った佐藤先輩は
さっきよりも赤くなってた。

先輩はというと

「えっ!?ああっ、え!?」

「お願いっ」

「わ、わかったよ…」

頭に?を浮かべながらも
照れて佐藤先輩の頭を撫でた。

嬉しそうに照れ笑いする佐藤先輩。

「っ…」

く、悔しい!なんですんの!?

イライライライラ…。

先輩、、




後で殺す!!!





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