スキ*キライ【1】
「もうだいぶ暗くなったね、帰ろうか」
「あ、そうだね」
イライラしすぎて勉強どころじゃなかった。
片付けをして、教室を出た。
「職員室に教室の鍵返してくるから先に靴箱の方へ行ってて」
そう言って、あたしと佐藤先輩を残し
走って行ってしまった。
なぜあたし達を残した!?
佐藤先輩にいかせりゃいいじゃん!
「日向ちゃん」
歩きながら佐藤先輩は話しかけてきた。
「なんですか?」
嫌なことしかない心の内を見せないように
あたしはふんわり笑って見せた。
「葉山のこと、スキでしょ」
聞かれると思った。
「どうですかねー」
「とぼけるの?あたしは葉山がスキなんだけど」
やっぱり!
「へぇ、そうなんですか」
さらっと流せばいいやと思ってたら
「そうなの!応援してくれるよね?だって日向ちゃんはスキじゃないんだもんね??」
佐藤先輩のペースにあたしはまんまとはまってしまってた。
「何が、言いたいんですか…」
何か言いたそうな目で言うから、
つい聞き返してしまった。
「告白、していいよね??」
「か、勝手にどうぞ!」
そんなことあたしに聞かなくたって
勝手にしたらいいじゃない。
「勉強教えてもらうの今日までだったんだ。だから今日ほんとは告白するつもりだったの。日向ちゃんがいてできなかったけど」
「それはそれは邪魔してすいませんでした」
「あたしによく葉山相談してきてたよー?日向ちゃんのことで」
え、!?
なんで!?そんなに佐藤先輩と仲良いの!?
「相当悩んでたみたいだからあたしが慰めてあげたらあたしのこと気になってくれたみたいなの」
「そ、そんなこと…」
ないとは、言い切れない。
だって先輩、、照れた顔してた。
赤かったし…この人の頭だって撫でた。
そう言われればそうなのかもしれないって
そんな不安がぐるぐるし始めた。