スキ*キライ【1】







「お願いだよ!二人きりになりたいの!どうしても告白したいから」

先輩がこの人のものになっちゃうかもしれない。

それなのに、あたしは

何も言えずに頷いてしまった。

「ありがとう!日向ちゃんって葉山に聞いた通りの優しい子だね!」

靴箱について、上靴をローファーに履き替えた。

少しして、先輩は待たせてごめん!と
ダッシュでやってきた。

校門を出ると、先輩は

「あ」

何かに気づいたようにそう言った。

「二人とも家逆方向だよな?」

「そうなの?」

「日向こっちなんだよー」

どうしよう、と先輩は頭を抱える。

いつもはあたしがいないから
佐藤先輩を家まで送ってたの?

なんで、

なんでこの先輩にそこまでするの?

気があるって…本当に?

すると佐藤先輩に目配せをされた。

そういうことね、。
あたしは葉山に送ってもらうから
一人で帰れってそう言いたいんだ。

いいわよ。上等!

あたしは不安だけど、佐藤先輩が告白したって
先輩はあたしを選んでくれるって信じてるもん!!!

「あたし、一人で帰ります。先輩、佐藤先輩を送ってあげて」

「いや、でも」

心配だしと続ける先輩は本当にお人好しだ。

「日向ちゃん大丈夫?ごめんね」

なにいい子ぶってるのさ!

そんな佐藤先輩に悪意を込めて

「大丈夫です♡」

笑顔でそう言った。

「じゃあまたね!」

「あっ、ひな「先輩ちゃんと、送ってあげるんですよ!」

あたしは走ってその場を後にした。




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