スキ*キライ【1】
「もう一度言っていい?今度はちゃんとするから」
「う、うん」
佐藤がゆっくり口を開く。
それだけで心臓がバクバクいった。
「葉山がスキです。あたしと付き合ってください」
「あ、あっあの」
オレは日向が……。
「日向ちゃんから許可はもらってるから気にしなくていいよ。最初はお試しでもいい絶対スキにならすから付き合って」
その言葉を聞いてオレは冷静になった。
「……許可?それどういうこと?」
「だから、日向ちゃんはあたしのこと応援してくれてるの。それって葉山と付き合ってもいいってことじゃない?だから許可って言ったの」
「へぇ」
日向の馬鹿野郎。
「ごめん、オレがスキなのはやっぱり日向だ。佐藤と付き合っても佐藤のことスキになることはない。絶対に」
冷たい言葉だと思う。
でも事実だ。
「なんで!?あたしを選んでよ!顔だってスタイルだって人並みよりいいでしょ!?」
「そんなの関係ない。顔やスタイルが日向より良かったとしても断ってるよ」
「どうして??あたし結構尽くすよ!?わがままだって許すよ!あんな子より絶対いいよ!」
「べつに都合のいい彼女がほしいんじゃない。日向だからスキで、日向だから欲しいんだよ」
「むかつく!!あんな子顔だけじゃない!」
「そんなに言うくらいスキになってくれたのは嬉しいよ、ありがとう。でも……」
バン!
オレは我慢がならなかった。
佐藤を住宅地の壁に押さえつけて言った。
「あんな子とか二度と言うな」
「は、はぃ、ゴメン、ナサイ…」
普段怒ったりしないオレがキレたからか
佐藤は途端に怯えた顔をした。
や、やばい。
「わかってくれればいいんだよ」
咄嗟にニコッと笑うオレ。
するともっと恐怖に怯えた顔をした。
「ご、ごめん怖がらせるつもりはなかったんだけど」
「キャー!!怖いー!!」
物凄い速さで自分の家の方へ逃げてく佐藤。
「え…」
そんなすごい形相したかな!?
ど、どうしよう!
月曜から話すらしてくれないかも!!
「はぁ…まあいっか。日向さえいれば」
もう帰ってるかもしれないけど
なんとなく急いで日向の家へ向かった。