スキ*キライ【1】


日向said




「日向、!」

先輩があたしを見つけた。

やっぱりなにがあったって最後は
先輩があたしを見つけてくれるんだって
そう思った。

コンビニの中であまりにも大きな声を出したから
みんなが先輩の方へ振り返く。

先輩は気にしてないみたいだけど、
あたしは気にするので

「先輩、うるさいです」

軽く注意したら、先輩は苦笑いした。

あたしを外に連れ出して
コンビニの裏の誰にも見えない所で
先輩はぎゅうっと抱きしめてきた。

「せ、先輩」

驚いて声をあげる。

「ごめん一人にして」

あたしが一人で帰るって言ったんだよ。

「先輩」

大丈夫だよ。
そう思うのに

「ごめん」

先輩が傷ついたように弱ってそう言うから

「先輩のバカァ」

あたしは小さな子供みたいに
うわーんと泣いてしまった。

先輩はあたしが泣き止む間
黙って優しく優しく抱きしめ、
何度も何度も頭を撫でてくれた。

あぁ、先輩だ。
先輩がいる。

あたしもぎゅっと抱きしめ返した。

なんて、安心するんだろう。

なんてこんなにも心地いいんだろう。

先輩の腕の中はとても暖かかった。

「うぅっ」

少ししてあたしは落ち着きを取り戻してこう言った。

「先輩、、あたし誰かにつけられてるみたいなんです」

「なにそれ、ストーカー?」

あたしはコクリと頷いた。

「オイ、、オレ違うからな!?」

「先輩じゃなかったら誰ですかね」

「知らないけどオレじゃないからな!!」

「わかってますよー、疑ってませんから」

「でもまあ…」



「誰が何をしようがオレが守るから」

力強い発言にドキリとした。

「それに、オレ以上のストーカーなんていないだろ〜?」

せっかくさっきのセリフだって、
ちょっとかっこいいって思ったのに
今ので全部台無しだよ。




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