スキ*キライ【1】





あたし的には一生懸命だったのに

「ははっ」

先輩は困ったように笑う。

笑うなんて、

「ひどぃ」

頬に触れてた手を離そうとして
そう言うと

「日向はいつからそんなに泣き虫になったの?」

その手を掴まれ、
もう一度自分の頬に触れさせて
そう言った。

「え、?」

あたし、また…。

先輩の左手はあたしの右手に触れてるまま。

「ほらほら、泣かないで?」

そう言って先輩はもう片方の手で
あたしの涙を拭ってくれる。

そして、、

「何処にも行かないよ」

優しい声でそう言った。


あたしは先輩の頬を。

先輩はあたしの涙を。

お互いに触れ合って
なんだか胸がキュッとした。


もっと、触れたい。

あたしがそう思った時、

先輩はあたしの涙を拭った方の手を
スーッとずらして

あたしの唇に触れた。

「……」

ドキドキドキドキ…

親指が物欲し気に唇をなぞる。

どうしたんだろう。

ただただあたしを見つめる先輩。



先輩、、もしかして……



キス、したいんですか…?






< 178 / 201 >

この作品をシェア

pagetop