スキ*キライ【1】






ピンポーン

昼食後、少しして家のベルが鳴った。

「ほらきたぞ、今日は呼んだ側なんだから行ったれ」

「わかってるよ!」

ほんとうるさいなー。

ピーンポーン

「はーい…!」

ガチャ

「わっ日向!」

「あ、はい。日向ですけど」

なんでそんな驚く(笑)

「まさか日向が出てくれるなんて…。今日は雪でも降るのかな?」

はぁ??

「オイコラ降るわけないでしょ!春ですよ!!」

この人本当に学年1位なの!?

なんだか不安で先が思いやられるんですけど!?

「てか今日はお団子なんだね。可愛いな〜」

「っ……」

そういうサラッと褒めちゃうとこ
調子狂うからやめてほしいデス…。

「お邪魔しまーす」

「……」

ほんとにお邪魔にならなきゃいいけど!

「朝日~、おは〜」

「はよ。今日はウチのバカ妹のためにわざわざどーも。それ、日向がお前のために朝から作ってたクッキー。よかったらどーぞどーぞ」

「えっ!?」

「な、なぬ!?!」

に、に、兄ちゃん!?!?

ななな、なんてことを言うのッ!!!

「いやいや、ないない。朝日、それはいくらなんでも…」

全くもって失礼な人だ。

あたしが先輩のためにつくるわけないと
思い込んでる。

兄ちゃんの言葉は一応真実なのに信じてくれない。

「じゃあいらないんですね!」

「え、??」

「兄ちゃん、全部食べていいわよ!!」

あたしは豪快にクッキーを掴み、
兄ちゃんの口に突っ込んだ。

「ひ、日向!?」

「なによ!!」

苛立って先輩をキッと睨みつけた。

「ケホッゴホッ…水っ…!!」

知るか!!!

残りのクッキーも
むせてる兄ちゃんの口に突っ込もうとした時

「ちょっ」

「なんですか!先輩!」

先輩は慌ててクッキーを掴んでる手を掴んで

「オレのために作ったんでしょ!?」

今更なことを言ってきた。

「だって…いらないんでしょ!?」

「いるよ!!いる!!」

「もういい!あげないも……!!?」





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