スキ*キライ【1】





「なんだよー…朝日かよー…チクショー…」

「…あ?んだよ?俺の飯は食えねーっていうのか?」

キッチンで料理し始めた兄ちゃんが振り返り
ものすごい形相で言う。

「い…え。なんでもございません…」

そして先輩はただただ残念そうに俯く。

えぇ、仕方ないじゃん。
今日の当番は兄ちゃんなんだもん。

「日向ぁ」

「なんですか…」

料理ができる間、テレビを見ていようと
ソファーに座るあたしに
ついてきた先輩はあたしを呼びかけ、
自然と隣に座ってきた。

あたしがこうやって
まともに先輩を家に呼ぶことは
今までになかったと思う。

兄ちゃんが自分の部屋に呼ぶことは何回かあった。
でもあたしは今日初めて先輩を家に招いたんだ。

先輩は隣に座っている、。

今日は兄ちゃんじゃなくて、
あたしなんだ…。

勉強してる時はわかんなかったけど
今そんなことを実感した。

てことは今日の先輩をどうするかは
あたしの、自由…!



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