スキ*キライ【1】




「ご馳走様でしたー!あー、美味かった〜!」

「当たり前だ。俺が作ったからな」

「あたしだと不味いみたいな言い方しないでくれる??」

あたし達は夜ご飯を済ませ、
あたしは先輩を玄関外まで見送ることに…。

「じゃあ日向、今日やったとこちゃんと復習しておくんだよ?」

そういって、背を向けた先輩に

「ぁ、ま、待って!」

あたしは先輩のシャツを引っ張って
足止めさせた。

「え?」

止めた理由なんて、なかったって言ったら嘘になる。

だって、もう少し一緒にいたいって思ってしまった故の行動だから。

「どうした?」

えっと、あぁー!

「きょ、今日はありがとうございました!」

「あぁ、うん。またわかんないとこあったら聞いてよ」

「あ…はい!」

「うん」

あーっと、えーっと、。

「……」

話すことがなくなり黙ってしまうあたし。

こういう時言葉が出なくなる。

なんて言えばいいのかわからなくなる。

「えーっと…じゃぁオレはこれで」

「えっ、!」

「あっ、ごめん。もう行った方がいいのかと、思って」

そう言って困った表情を浮かべる先輩。

行ってほしくないよ。
なんて言えなくて、。

「先輩…」

あたしは思い切って寂しそうに笑って見せた。

言葉がダメなら行動で。

そして、

「日向…」

スッと頬にあたった先輩の右手。

あたしの顎を少し持ち上げたかと思うと
ゆっくり近づいてきた先輩の顔。

あ…先輩、、。

そして、あたしは自然と目を閉じた。








5秒くらいだったかな。

何も起こらないのを不思議に思って目を開けた。

「せん、ぱぃ?」

目の前には驚いた顔をした先輩がいた。

「え?」

先輩が真っ赤になってきたところで
あたしは自分が犯した行動にやっと気づいた。

「ご、ごめんなさい!!」

あたしからふっかけたわけじゃないのに
思わず謝った。

あたし、なにやってるんだろ!?
あれ!?あたしがふっかけたのかな!?

今更ながら恥ずかしくなって
先輩と同じように赤くなった。






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