スキ*キライ【1】





「なぁ」

「………なんです、」

「非常階段でのこと、覚えてる?」

へ!?

も、もしかして
なんて言ったかわかんなかったから
また聞こうとしてる!?

ヤダヤダ!!!!

「な、なん!もうあの事はっ…!!」

「あの時…日向さ、唇は“まだ”だめって言ったんだよ」

うぇ!?な、なんのこと!?

「キスマークにキスするって言ってくれたじゃん?その時のことだよ。やっぱり覚えてない?」

ハッ!!

お、思い出した、、!!
そんなこと…勢いで言ったかもしれない、!!

「思い出した?聞き間違えだったんじゃないかって思ってたんだけど」

「き、聞き間違えじゃっ、ないですか〜?!」

若干声が詰まったのをみて
先輩は聞き間違えじゃなかったことを
はっきり確信したように笑った。

そして、

「日向…オレのこと、ちょっとは意識してくれてる?」

「!な、なんで」

「ん、してくれてたらいいなって」

どんどん真っ赤になるあたしの反応を見て
嬉しそうに笑う先輩。

「ぅるさい」

先輩、、あたしの気持ち、
ほんとはもうわかってるんじゃないの…?

そう思うほど最近の先輩は甘ったるい。

「あーっ、ほんっと可愛いなぁ!」

そう言って、あたしを
よしよしと撫で回わしたかったみたいだけど
今日は生憎お団子にしちゃったから
出来ないんですよー!バーカ。

先輩はただただ悶えていた。

「やべー、めちゃくちゃ嬉しい…」

「うるさいな!スキにはなってないんだからね!!?」

あぁ、ついまた言ってしまった、。

「そうだよな、うん!わかってるよ!だからもっと頑張ります!!」

あたしは自分からスキと言える日が
本当にくるんだろうか、。

伝えたいのに、
うまく伝えられないもどかしさが
胸を締め付けてちょっと苦しいな。

このままじゃいけないのは
わかってるけどまだ素直になれないよ。




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