スキ*キライ【1】
「…なに」
あたしが入学してから毎日こうだ。
いい加減離れて欲しい…。
「べ、べつに…」
「なんでもいいけど離れてもらえますか」
「……」
先輩はしぶしぶあたしから離れる。
そしてあたしは
「七瀬の妹かわえーなオイ」
「日向ちゃ〜んこっち向いて〜」
自分に向けられる声にいつも通り笑顔を振り撒いた。
「じゃーね、兄ちゃん」
靴箱前で作り笑顔で手を振る。
「ぁあ…」
そういって困った顔をする兄ちゃん。
……。
あたしが困ってんだけど!
「日向を教室まで送る!!」
「あのねぇ…」
「あのなぁ…」
見事に被った兄妹。
あたしは兄ちゃんを睨みつける。
兄ちゃんは大きなため息をつく。
「ぁーもう知らね」
「はっ?」
「めんどくさい。俺先行くから」
「さすが朝日!」
嘘でしょ?
実の妹がこんだけ困ってんのに助けてくれま………せんね、はい。
兄ちゃんは何も言わず自分の教室へ本当に行ってしまった。