スキ*キライ【1】
「………」
母さんのバカ!
先輩のバカ!
コンプレックス大公開かっ!
なんであんなにあたしのこと知ってるの!?
ほんとにストーカーじゃないか!
そろそろ訴えるぞ!!
むー…。
しばらく誰かが部屋のドアを叩いた。
コンコン…
きっとデリカシーのない先輩だろう。
「日向…ごめん」
無視をしているとドアの前から聞こえたのは
やっぱりバカ先輩の声。
「…まだ怒ってる…よな」
「………はぁ…」
先輩に聞こえない程度で小さくため息をついて
あたしはドアの方へ向かった。
「……先輩」
「日向?」
「ごめん…」
「……別に…もういいです」
ドア越しにそう答える。
ここで許してあげなかったら
先輩は許してもらえるまでしつこく謝ってくるだろう。