スキ*キライ【1】
「そっか…よかった」
先輩の安心した声が聞こえてなんだか変な感じがした。
「………」
やな感じはじゃなくて
ふわっとあったかい感じ。
そして先輩がどんな顔をしているのか気になって
ガチャ…
ドアを開けた。
先輩は目が合うといつものように微笑んだ。
う、やっぱり熱のせいだ。
一瞬ドキッとしてしまった。
「……ぁ、先輩…今朝のこともお見舞いもありがとうございました」
「え?」
あたしの珍しい言葉にキョトンとする先輩。
そして驚いたかと思えば今度は照れだした。
「へへっ…そう言われると嬉しいよ」
すると先輩はあたしの頭をワシャワシャと撫でた。
「な、なにするんですか…!」
わわ…ボサボサになったじゃん!
「日向」
少し困った表情で見上げると
先輩はまたいつものような笑顔を見せた。
「いつでもオレに頼っていいからな」
なによ、ちょっとドヤ顔しちゃってさ。
「…や、やだ!ストーカーになんか頼りたくないもん」
「えぇっ、日向までそんなこと言うなよ~」
「なんであんなにあたしのこと知ってるんですか」
あたしよりあたしのことわかってるんじゃ…。
「だって日向のことだから」
スキな子のこと知りたいって思うの当たり前でしょ?
そう言う先輩。
またさらっとスキって言った!
何でそうも簡単に…!
ていうかあたしスキな人いたことないしわかんないよ。
でもこの時、なぜだか先輩の気持ちが嫌だと感じなかった。