スキ*キライ【1】
「佐野先輩っ!」
どこにいたのよー!
「誰だ、こいつ」
「まずその手離せよ」
恐ろしい顔をして佐野先輩は言った。
思わずあたしもビビった。
「チッ…彼氏持ちかよ」
よ、よかった…。
佐野先輩のおかげで
厳つい兄ちゃんはおとなしく去っていった。
きっと厳つい兄ちゃんも
さっきの佐野先輩の顔が怖かったのだろう。
「大丈夫か?」
「どこ行ってたんですか!」
「ごめんごめん。お前、遅かったからそこの本屋で暇潰ししてた。電話くらいでろよな」
「え?あ、そうだ!電話!わ…ごめんなさい!!」
慌てて携帯をみると佐野先輩から着信が数件入ってた。
「待っててくれたんですね。ありがとうございます」