オレンジ色のかごの中
「うわぉ 学校とか、マジ久しぶりだ~!」
あまり売れてるわけではない僕は、ドラマもちょい役が多くて
バラエティー番組などにはほとんど出たことがない。
たまたま、大学生の時に急にヒマになった僕は、なんとなく教職の単位を取っていた。けっきょく最後までやらないでこの世界に入ったけど。
そんな経緯があって、今回は小学校に行って
生徒たちと一緒に何かをするという番組のオファーが入った。
バラエティー番組のほんのひとコーナーだけど、やりようによっては目立つことができるかもしれない。
スタッフが教職員と話をして中に入るとき、僕はずっと校庭を見ていた。
ほんとうに久しぶりだ。こうして、またこんなにワクワクした気持ちで校庭を見つめられる日がくるなんて。
僕は生徒たちの駆け回る姿を夢中になって見ていた。
「すみませーん、取ってくださーい!」
急に呼びかけられて足下を見ると、野球のボールが転がってきた。
土の似合わない僕の靴にコツンとぶつかる。
ボールを拾うと、遠くから少年がグローブを振った。
「すみませーん、すみませーん」
投げろ、の合図。
僕は自分のフォームを確かめるように、ゆっくり体を開いた。
少年が構える。
僕が強く投げると思ったのだろう。
けれど、この距離は危ない。
僕はまた体を縮めて、下から軽くボールを投げて渡した。
あまり売れてるわけではない僕は、ドラマもちょい役が多くて
バラエティー番組などにはほとんど出たことがない。
たまたま、大学生の時に急にヒマになった僕は、なんとなく教職の単位を取っていた。けっきょく最後までやらないでこの世界に入ったけど。
そんな経緯があって、今回は小学校に行って
生徒たちと一緒に何かをするという番組のオファーが入った。
バラエティー番組のほんのひとコーナーだけど、やりようによっては目立つことができるかもしれない。
スタッフが教職員と話をして中に入るとき、僕はずっと校庭を見ていた。
ほんとうに久しぶりだ。こうして、またこんなにワクワクした気持ちで校庭を見つめられる日がくるなんて。
僕は生徒たちの駆け回る姿を夢中になって見ていた。
「すみませーん、取ってくださーい!」
急に呼びかけられて足下を見ると、野球のボールが転がってきた。
土の似合わない僕の靴にコツンとぶつかる。
ボールを拾うと、遠くから少年がグローブを振った。
「すみませーん、すみませーん」
投げろ、の合図。
僕は自分のフォームを確かめるように、ゆっくり体を開いた。
少年が構える。
僕が強く投げると思ったのだろう。
けれど、この距離は危ない。
僕はまた体を縮めて、下から軽くボールを投げて渡した。