オレンジ色のかごの中
僕は高校生活の毎日をグラウンドですごした。


通い始めた高校は、どっちかと言うと野球よりサッカーが主流で、顧問も若いだけで選ばれた男性国語教師だった。


野球は大好きだったけどプロになるつもりはなかったし、制服が良かったから選んだだけだ。


中学を卒業しての春休みにピアスをあけて、チャラチャラしてても選ぶのは野球だ、っていうのが、なんかカッコイイ気がしてた。



そのグラウンドで彼と出会った。


僕よりひとつ年上の彼はすごくガタイが良くて、笑うとガハガハ言う。


僕なんかより何十倍も野球が好きで、野球のことになるとすぐに熱くなった。

それなのに人に押し付けることがなく、自分のペースで…それが尋常じゃないくらいの量なんだけど、黙々と練習をしていた。


彼といると野球ってホントに楽しくて、周りもつられてキツイ練習をこなしてしまう。


僕ももちろんそうだ。

安物のピアスは汗ですぐ錆びて、この頃の小遣いはメシ代とピアス代と、錆びたピアスに負けた耳たぶの病院代にしかならなかった。


だけど、楽しかった。


少しずつ強くなりつつあった野球部は、彼が部長になった時、ピークを迎えた。


遠征もした練習試合は八割は勝った。


そして、夢の甲子園。


ウチの学校が甲子園に行くなんて誰も予想をしていなかったから、決まった時は顧問がテンパってしまっていたのは笑い話。


僕たちは、どの大学に行くかがプロ入りの夢に近付くのかを真剣に話したりした。



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