暗い目の理由


「大丈夫か?」


心配そうに顔を覗き込んでくる彼
頬に触れた手は温かくて気持ち良かった


「だ、いじょうぶ…です」


この人から早く離れたくてその手を振り払った
知らない人に弱音を吐きたくなかった
けど、


「待てって」


腕を掴まれて逃げれなくなった


「離して、離して下さいっ」


早く離れなくてはブチまけてしまいそうだった
何もかもブチまけて
泣き崩れてしまいそうだった。
それが出来たらどれだけ楽か……

けれど、私の小さなプライドがそれを許さない


「離して下さいよっ…」


どんだけ足掻いても彼は手を離そうとしなかった
逆に力は強まる一方だった。


「…」


グッと引っ張られ体制を崩す
堅く暖かい温もりに包まれる

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