暗い目の理由


抱き締められていると気付くのに時間が掛かった


「なんか、お前見てるとほっとけない…」


抱き締める力が強くなる、苦しくはない。
私よりこの人の方が弱く思えてしまうほど弱々しく囁く


「その顔で泣かれるのはキツイ」


彼は今にも消えてしまいそうだった。


「ねぇ、俺と付き合って」


あまりにも唐突な言葉で目が点になる
でも、この人といるとみょうに落ち着いた。
お兄ちゃんの事を少しでも忘れたかった。

好きではなかったけど、
少しでも自分が楽になるならと


「うん…いいよ」


彼はちょっと驚いた顔をしたけど


「じゃあ、これからよろしくね」


そういって最初に見せた暖かい笑顔でまた私を抱き締めた。





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