8月の花嫁

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ウェディングドレスの撮影日 
ビーチ近くの白い教会

彼は早朝に奥さんと 日本へ向かった 

先輩もいつもと変わらない 
私の足も怪我が良くなり撮影に戻った

幾つものドレスを着て
彼がいない中 代わりのカメラマンでの撮影が進んでいく
スタッフも昨日の事は一切語らない 私たちも

純白なドレスを着た彼女は凛としてやっぱり綺麗だ

「休憩に入いります」スタッフのひとりが言った

彼女は スタッフ達と楽しそうに話しをしている

「彼女はほんときれいだね」

先輩を見ながらカメラマンが言った

「はい」
「彼女ならいいモデルになるよ いや君もね」
「先輩はともかく私は….はははっ」
「いや君も 十分いけるよ」

カメラマンがカメラを向ける

「カメラ...触ってもいいですか?」
「良いよ 興味ある?覗いてごらん」

カメラマンが私の後ろから両手を回しカメラを私の目線に合わせた

ほら 見える?ここを回してピントを合わせるんだ」

私は言われた通りにして見せた 

その先に彼女が映った
あの彼はこのファインダーを通して彼女をこんな風に見ていたんだ
と 改めて思った

「もし良かったら この小さいカメラを君にあげるよ」
「えっ 良いですよ こんな大切なもの」
「これはもう あまり使わないから でもまだ十分使えるよ」
「良いんですか?私なんかが貰っちゃって」
「君が初めてだから…カメラに触りたいなんて言う娘(こ)」
「ありがとうございます 大切にします」
「いい 使い方はね…」

あの彼が見ている世界

カメラの中の彼女はスタッフと雑談している

その微笑はきれいだった なのに儚げで…切ない

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