8月の花嫁

27

太陽の神と美しい海の神は
早く互いに触れ合う事を急かしているかの様に
ビーチを染めていった


街を離れた浜辺の小さな教会は
夕陽に照らされてオレンジ色に染まり幻想的に見える

その教会の大きな扉を開いた

数多くの蝋燭にともされた灯 

大きな窓ガラスの向こう側
太陽の神と美しい海の神の姿が
教会の中を黄金色に輝かせていた

その中に
彼女は真っ白なドレス 白いプルメリアの花冠
甘く薫るプルメリアのブーケを握り立っている

その姿は言葉にならない程 美しかった

彼がその彼女に向かって歩いて行く

ふたりは微笑みを交わす

彼が腕を差し出す その彼の腕に彼女が答える

それを見ていた若い彼が自ら神父に姿を変えた

太陽の神と美しい海の神は今か今かと待っている

静かに進められる儀式を私は一番前の席で見守った

「では誓いを…」神父代わりの彼が言う

ふたりは神父代わりの彼を前に

『 私たちは、良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います。』

と   手を合わせて誓う

厳かな中でのふたりの言葉は私の胸を突いた

そして 彼が淡いピンクの桜貝の指輪を彼女の白いしなやかな指に通す

太陽の神と美しい海の神のKISSの瞬間
彼と彼女は唇を重ねた

それは自然で まるで映画のワンシーンを見るように


私は思わず持っていたカメラのシャッターを押していた 


彼女の恋はこうして終わりを告げた



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