晴明の悪点


「清明様、はやく家に入って休まれてください」


 せっせと主の背中を押し、蓬丸はせかした。

彼女は清明の容姿や人柄を誰よりも溺愛している。


だからこそ、だれよりも彼に甘えるし、恐ろしく忠実なのだ。


 当の清明と言えば、また女のような性格をしているので、まるで己の娘にいうような声をかける。


 獰猛なれど小さい犬と、それを飼っている女子大生とあらわすのが、一番適切である。



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