晴明の悪点
「まぁ、妖かしの類に危険のそういない。
人々がかれらをどうとらえるか、それだけなのだ」
「さすが清明様!ほかの陰陽師よりもいいことを言う!」
蓬丸が称賛の声を上げるが、当の清明は「この性格は直さねば・・・」と肩を落としているのだった。
攻めることを知らぬ平和主義な清明であるからこそ、その性格が祟って晴明の悪点などと呼ばれるようになったのだ。
「そういえば・・・」
清明はふと顔を上げた。
「最近、天冥(てんめい)を見かけないな・・・」
「せっ・・・!」
そこで蓬丸は「不謹慎な!」とばかりに目を剥いた。
「あんな外道、もう出てこなくてもよろしいではありませんかっ。
姿を現すたびに人を困らせて、清明様にちょっかいかけて!」
天冥――この都の末端あたりに住む民間陰陽師、『外道の貴公子』とも言われている。
しかしその呪力は強力そのものである。
民間陰陽師にしておくにはもったいないほどだ。
だがこの天冥なる男、なかなかの曲者だ。