晴明の悪点



「忠親(ただちか)様、やはりこれは物の怪の仕業では」


 雑色の言葉には、ぞっとした風情の色がこもっている。


物の怪でなくては、いったい何の仕業だというのだ。


そんなことは言うまでもない。


 しかし、この娘はどこでそのような禍々しきものを拾ってきたのか。


確かに時たま屋敷を抜け出すことがある困った娘だが、物の怪が出るような場所に行くことはないはずだ。


「陰陽師じゃ・・・・・・」


 忠親はその身を翻し、連れてこられた遠子を抱きかかえるや声を上げた。


「陰陽師をよべぃ!」




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