晴明の悪点
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「この前の暦はどこじゃ」
「ここに」
陰陽寮にて、ばたばたと小走りしながら、作成された暦を持ってきた清明は、陰陽大属(おんみょうのたいぞく)にそれを渡す。
さきほど公文書の記録を終えたばかりだが、それを大属に渡さなくてはならない。
書物などなどを大属に渡すと、やっと休む暇ができた清明は座り込みたい衝動に駆られた。
この男こそ阿部清明、またの名を「晴明の悪点」という。
その見目は真に麗しい。