晴明の悪点
黒髪は腰まであって艶やか、
白い肌に似合う桜色の唇を持ち、瞳も髪と同じ漆黒である。
女のようなのは顔だけではない、体つきもまた、男を思わさぬほど華奢だ。
清明が歩けば女はおろか、男でさえも振り返る。
清明の官位は大初位上、陰陽寮にては陰陽小属(陰陽大属の補佐)である。
下級役人に等しい。
物腰もよく優しい性格の持ち主だが、悪く言わずともお人好しの極みだともっぱらの噂である。
「ふぅ」
日暮れ前に退出の許可をもらい、清明は陰陽寮を後にした。
もう弥生の半ばになる。
二十四歳となった清明は、何気なく時間の早さを実感していたりする。
去年の弥生、「今年で私も二十三か」と思ったばかりだというのに。