ゆきんこ
「……あの………。」
なに、この展開……?
「ごめんなさいッ!福嶋さん達の会話を盗み聞きするつもりはなかったんだけど……。」
「…………?」
「福嶋さんって、滉と友達……なんだよね。」
こうもハッキリ名前で呼ばれると……
さすがに、動揺してしまう。
「……うん。」
「もしかして、付き合ってなんて……?」
「……。イヤイヤ、ないし!」
安心したのか……、楢崎はふうっと大きく胸を撫で下ろした。
素直で……
かわいい人だ。
なんて、非の打ち所のない……。
「滉は…、まだバスに乗ってる?」
「うん、まあ。」
「……新しい彼女とか…、いないかな?」
ん……?ちょっと待って。
「楢崎さんが…、彼女じゃないの?」
「……。うん、ちょっと前はね。でも…、別れようって言っちゃった。」
「……何で?」
「進路が…、バラバラになるから。」
「…………。」
「…あの人と友達だったらわかると思うけど……、かなり自由奔放でしょ?野放しにすると、すぐ女の子につかまっちゃうし。」
「………。そんな感じだね。」
「だから、遠距離する自信がなくて…。」
「…………。」