ゆきんこ




「前に偶然……、見ちゃった。あなたと滉が一緒に帰るところ。」



「…………!」



「好きなんじゃないの?もし、そうだったら…、無理になんて言わない。」





これは……


試されてるの?




私は……どう、答えるべき?







「………。例えそうだとしても、あなたたちの邪魔する気もないし、フェアにいきたい。」




「………。それって、宣戦布告?」




「いや、そういう意味じゃ……」




「……そう。なら、私もフェアに行こうかな。」



「………!」



「あなたの言う通り、会いに行けばいいんだよね。」



「…………。」



「……明日。私……、あのバスに乗るから。」



「……うん。」



「……福嶋さんは?」



「私は、明日も学校に残るから……。」




「……そっか。」



「……でも、ライバルは他にも……。」




「……彼女なら、大丈夫。」



「……え?」



「あいつは興味ない人には…自ら関わろうとはしないから。」




「…………。」





「だから…、あなたにだけ、宣戦布告。滉は……必ず取り戻して見せるから。」




「……………。」









何にも……



言えなかった。




「……ごめんね、勉強の邪魔して。」



「……ううん。」




「じゃあ……。」」




「………うん。」










嵐が去って……



私はその場にぼうっと立ち尽くす。








どんなに好きでも……




叶わない、恋がある。







「……何で……好きになっちゃったの……。」





そう簡単に忘れられるなら………




苦労なんて、しないのに。







夢のようなひと時は……、



所詮、夢に過ぎなかった。





もう……、



私に笑いかけてなんてくれない。



きっと……次会う時には。







楢崎の隣りで……



笑ってるんだろうな。









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