ゆきんこ
翌朝。
寝坊して、慌ただしい一日が始まる。
「幸。もうすぐ卒業だっていうのに…、何をそんなに切羽詰まった顔してるんだ?」
「…寝坊したから!」
「………。普通の女子高校生なら、ゆっくり悩む時間もあるだろうに…。お前には、そんなゆとりもないんだよな。だからいつも……そんな顔になる。」
「…………!」
「…明日からは俺が朝飯作るからな。」
「…お父さん…。」
「…だから、高校生活悔いのないように……締めくくれよ?」
「……ハイ。」
父の言葉を受けて……、家を出る前に、私は鏡で自分の顔を見る。
「…………?いつもと変わらないじゃん?」
自分ではわからない。
父からは……
いつもとは、きっと違って見えるのだろう。
敏感に、それを読み取りれるのは……
父だけだ。
つまりは。
「……よし、行くか。」
心配なんかかけていられない。
ちゃんと学校生活を謳歌しなくちゃ……!
意気込んで、私は家を……
後にした。