ゆきんこ
走って、
走って、
走って……。
やっと見えてきたバス停。
「……嘘っ…。」
そんな私のすぐ傍を……
バスが追い抜いていく。
「…ま、待って~!?」
けれど。
もちろん待つ訳もなく……
やっぱり気の抜ける音がして……
ドアがしまる。
「……さ、最悪……。」
見事に…、置いてきぼり。
一気に脱力して……
私はその場にしゃがみ込む。
「……もう。なにやってんのよ、ホント。」
しばらくそうしていると…。
サク…
サク、と……
雪踏む音が耳に届いてきた。
「………福嶋……?」
……。
え。この声って……
顔を上げるとそこに。
「……に、新野……?!」
新野が立っていた。
「…何で新野がここに?」
「何でって…。朝のバスなら、福嶋に会えると思って。」
「……は?」
「昨日…、話しそびれたから。」
「………。」
「……ずっと待ってたのに。」
「………。」
昨日……、
バスに乗る私に新野が言った言葉……。
でも、新野は楢崎と一緒に……
「俺もあのバスに乗るはずだったのに。色々、予想外なことが……。」