ゆきんこ
ふうっと真っ白な息を吐いて…。



新野は、悲しそうに笑う。




「……だから…、今日こそって思ったら。福嶋来ないし。」




「……えっと……。」



「…諦めてバス乗ったらアンタの姿見えてさ。慌てて降りちゃった。」




「……新野……。」



「………ん?」



「新野も遅刻だよ?」




「や。今そこを突っ込むか?」



「……だって……。」




「いんだよ、そんなの。俺は俺の思ったよーにしただけ。」




……自由人、健在?



でも……。






「あの……。話って?」





今更……


何の話が……?








新野は一瞬だまりこんで……、




それから、



「ん。」




私に手を差し延べてきた。





「……どーせお互い遅刻だし。歩きながら……話そう。」





でも……、


新野。



私はもう……




君の手を掴むことは…できない。






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