ゆきんこ




卒業式の総練習。




「仰げば尊し」を歌いながら……





迫りくるその日を……




すぐ背後に感じて。





何だか……



泣けてきた。







「アンタ何泣いてんのよっ。」





近くに並ぶ咲も、うっすらと目に涙を浮かべて……




それがまた、涙を誘う。





しまいには。



わんわんと泣いてしまった私達に……









「…気が早いから。」って……




文人が眉を垂らして笑った。






卒業して、3月の末になれば……




文人ともまた、離れ離れになる。






その時間を惜しむように……、




文人は私を、大切に大切に………




これでもかっていうくらいの愛情を……




注いでくれる。




その気持ちに矛盾して……




ちくちくと胸が痛む。








この気持ちは……




一体、何なんだろう。












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