ゆきんこ
「これ、おかしくないか?」
「ううん、バッチリ!」
おろしたてのスーツを身に纏い、気恥ずかしそうな父に……
「……こらこら、主役はこっちだっちゅーの!」
背中をバシッと叩いて気合いを注入する。
「全く…大きくなったもんだな。」
「……まあね~、18だもんね。」
「…………幸。卒業…、おめでとう。」
「……。まだ卒業前だよ。」
「いいんだよ。どーせ、お前も俺も泣いて見れた顔じゃなくなるんだから…、今のうちに、記念写真でも撮ろう。」
「……ハイハイ、なら校門の前で撮ろうね。」
気が早いのは…
親子揃って同じ。
「……ありがとうね。」
嫁に行くわけじゃあないけれど。
今日は特別に……
父に感謝。
ありがとう、お父さん……。