ゆきんこ
雪に足を取られて。
何度も転びそうになりながら……
それでも、
まっすぐ、まっすぐに………
先の見えないゴールに向かって、全力で走る。
バレー部で培った根性をここで発揮しないでどうする?!
……なんて…、
そんなスポ根魂を掲げて。
……が、
ようやく辿りついたバス停に。人っ子一人いなくて………
もう既に行ってしまったことに……
嫌でも気づかされる。
携帯を開くと…、
発車時間はとっくのとうに過ぎていて。
わかっていたはずなのに悔しくて……。
私は、その場にしゃがみこんだ。
もっと早く素直になっていれば……。
私が傷つけてきた人達が、何度も何度も忠告してくれたのに。
咲が、
楢崎が、
文人が………。
肩で息をして、
渇いた咳を吐きながら……
私は、再び立ち上がる。
……諦めて……いいの?
時刻表を見ると……。
次の便は、8時台の最終便。
「……………。」
私は携帯を手にとると……
ある人の名前を探す。
時間なんて……ない。
明日にはもう……、新野は……!
耳元でコール音が鳴り、やがてそれは……
留守電の音声に切り替わった。
「……出ない……。」
電話に気づかないのか、
持ち歩いてないのか、
それとも……
ただ、出たくないだけかもしれない。
それでも……!
発信音が鳴って。
私は深呼吸する。
「……新野…。私……、幸です。新野が東京に行く前に……、どうしても話したいことがあります。今から……、帰るから…。だから、バス停で待っててくれませんか…?」
機械音が流れて……。
私は携帯を閉じる。
待っててくれるかはわからない。
でも……
ちゃんと、伝えたい。