ゆきんこ
それは……、
突然の別れの宣告。
昨日までは、全く普通だったのに……。
いとも簡単に、別れようと言う。
隣りで俯く景は……、
意を固めているのか、口をキュッとへの字に結んで……
多分…、
俺の言葉を待っていた。
彼女と付き合って…、1年半。
束縛されたつもりもないし、
喧嘩だってほとんどしていない。
恋人だから、やることはやっていたし…、
彼女に対する不満は……
ない。
むしろ、完璧すぎるくらいだった。
「…ああ…そう。」
俺はそこで…、ようやく、重い口を開く。
「……何それ…。」
「無理してんじゃないかって思ってた。お互い部活も忙しかったし、会う時間もロクにない。俺が遊びに行きたいって言えば…嫌な顔ひとつしなかったろ?」
「…………。」
「…いつも言われるからさ。一緒にいても不安だ、とか……。」