ゆきんこ
「………!!」
ボンボン付きの白帽子……。
雪に埋まって……
名前が、ユキ。
なるほど、わたしってば出来すぎ?
君があんまり笑うから、
ついつい私も……
つられてしまう。
「ぉお、笑った。」
「……え。」
「昨日はアタフタしてて困った顔ばっかだったから。」
「……た、たしかに…。」
二、三会話をやりとりしてると……
「新野~、その子たち知り合い?」
わらわらと、私達の周りを南校生が囲みこんだ。
あわわ……
なんだ、この包囲網?
「…あ~…、ほら、学校で話した……」
「ああ!地元人のくせに側溝にハマった子?!」
「そう、ソレ。」
なんてことでしょう。
話のネタにされるなんて……。
『それ』とか言われてるし。
「えっと…、それがユキちゃんで…こっちの子は?」
咲は待ってましたといわんばかりに、
「幸の親友の野間咲です。」
フルネームで自己紹介。
「へえ、『咲ちゃん』。前から咲ちゃんのこと、西校の美人なコって話題してたんだよ。なあ、新野。」
「おう。美人さん。」
な…、なんと!
新野滉の口から美人さん発言!
いいなあ、咲……
ちゃんと眼中に入ってたんじゃん!
けれど……
「やだなぁ。西校の美人っていったら、楢崎景だよねー、幸。」
照れ隠しなのか、
からかうつもりなのか、
咲の思惑はわからないが……
その場にいた全員が、
一斉に……
新野滉の顔を見た。
「……二人とも、3年?」
「はい。」
「年下かと思った。だってちっこいし。」
ポーカーフェイスを貫いて……
彼は私を指さした。
「しょっちゅう言われる。」
ああ…、
対等にすら思われてなかったかあ……。
「てか、景と友達?」
彼がさり気に口にした彼女の下の名前。
とたんに……
胸がズキンと痛んだ。
彼カノだもん、
当然……か。
「や。軽く話す程度。ウチらバレー部で、向こうバスケで、隣りのコートで練習する兼ね合いで?」