ゆきんこ
揺れるバスに身を任せて……
俺は目を閉じる。
こういう時は……、何も考えたくないから。
得意の睡眠でごまかすのが一番いい。
「……………。」
なのに……、
いつまで経っても、睡魔は襲って来なかった。
案外……
ショックだったらしい。
とうとう車内アナウンスは、俺の降りる場所の名を告げて……
手を伸ばした俺より先に、
誰かが…既に、降車ボタンを点灯させていた。
気が抜けるような音と共に……、
ドアが開く。
……と、
俺のすぐ側を……
ひらりと通り抜ける、小さな後ろ姿があった。
「……………。」
そう言えば。
あの、白いぼんぼんをつけた帽子……
よく見かけるな。