ゆきんこ
寝ぼけてる訳ではないけれど。
視界が……
グレーに染まって見えた。
のろのろと席を立って、運転手に定期を見せる。
それから……
ドアから吹いてくる風を真っ向に受けながら。
ステップを下ると……。
「…………?」
足元で、
白ボンボンが……
這いつくばっていた。
一気に………
視界が明るくなる。
真っ白な帽子…。
真っ白な雪に…、ようやく我に返ったけれど……。
どうにもこの白ボンボンが、行き先を邪魔していて…
身動きがとれなくなっていた。
一歩間違えたら、雪と間違えて……踏んでしまったかも。
……それはナイか。
それにしても…。
……なんか……、
必死?
探し物か?
じっとその様子を眺めていると、ようやく気づいたのか……
その、白ボンボンが……
顔を上げる。
「……………。」
目が大きくて……
ちびっこい女。
妙~にその帽子が……
似合っていた。