ゆきんこ
しばらくして。



白ボンボンは、目線を逸らすと……、



急にむくっと立ち上がり、




「…まあ、いっか。」




まるで何事もなかったかのように……





くるりと背を向けて……





先を歩いていった。








「…………。」




今……、



もしかして、気を遣った?




あんなに必死だったのに、人の顔見た途端……。





「………そんなに重症?…俺。」







白ボンボンの探し物。




それは意外にも簡単に見つかった。





なぜなら……





「……げ。」





なんとも見事に、足の下敷きにしていたのだから……。






かろうじて、見てとれる背中に……呼びかけようとするけれど。





「…………。」




名前を……


知らない。








「…………。」





仕方なく、それをポケットにしまうと……





俺もまた……、



帰路についた。





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