ゆきんこ
その日の帰りから……、





俺は瀬永達と、帰ることになる。





連中はそれぞれ運動部で…、



いつも最終便で、一緒に帰っていた奴らだ。






「……お前景ちゃんと別れたんか?」



「うるせーよ、バカ。」





そんなやりとりをしながら……、




バスに乗り込む。





……と、





「………。」




あ……。




白ボンボン。






俺はピアスの入ったポケットをぎゅっと握りしめて……。





どう声を掛けようか…



迷う。






そうこうしてるうちに、瀬永達がバスを降り……




白ボンボンの隣り座っていた友人らしき女も同時に…




いなくなった。







車内には、まだ他の乗客だっているのに……。




何とも言えない緊張感が、ただよう。





しばらくすると……



ヒーターで暑くなったのか、白ボンボンは白ボンボンをとって……




ふわふわした髪の毛を、細い指で整えた。




「……………。」





白ボンボンの正体は。




思ったよりも大人びていて……




肌の白い、かわいい顔。






「………やべぇ。」




……かわいいとか…、思ってしまった。






男が……いない訳ない。





そう、根拠のない確信をすると。





そのまま…………




なんとなくだけど、彼女の背中を気にしながら……





バスに揺られた。





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