ゆきんこ
咲は先にバスを降り……
他の南校生と一緒に、私達に手を振った。
………あれ…。
とり残された気分。
「…隣り座っていい?」
「え。…あ、どうぞ。」
バスの中は、ガラガラなのに……
新野滉は、私の隣りにすとんと座った。
しかも、ごく自然に……。
あ……、このシチュエーション……。
それに。
この席は……
いつか私が見た、彼と楢崎さんのツーショットと同じ……。
傍から見たら、カップルに見えたり……
いやいや、私とじゃあしないか。
でも……
左側が、熱い。
すぐ隣りに憧れの人……。
ひぇえ!
まともに顔上げられないじゃん!
でもでも………。
私は思い切って、彼をチラ見する。
わあ……、
いつもと全然変わらない。
こういうの、慣れてるのかな。
緊張なんて……
しないのかな。
「………眠い。」
「…へ?」
「寝てもいい?」
「……あと10分しないうちに着くよ?」
「うん、のび〇並に寝付きいいから大丈夫。着いたら起こして。」
「………うん。」
おいおい……
隣りに女子が座っているというのに…
この緊張感のなさは何?!
「……………。」
すご………
本当に寝てるし。
わわっ……
綺麗な寝顔ー……
眉が下がってる。
これって…
隣りにいる特権……かな。