ゆきんこ
『……………コラ!滉ッ!!』
「………。」
誰かの……叱責の声。
『…………あら…。起こしちゃった、ごめんね?』
………。
おふくろ……?
『……す、すみません!!』
あれ……?
この声……?
ゆっくりと目を開けると……
すぐ目の前には、何故か…
福嶋が…いた。
夢の……続き?
「おはよう、福嶋。」
「バカ息子!『おはよう』じゃないよ。」
突然、ゲンコツが……
飛んでくる。
「……いってぇ~……。」
……てか、現実か!
………なんだよ、もー……。
いい夢見て……って、
「………………?」
え…………?
いつの間にやら?
こたつから出した手には。
しっかりと福嶋の手が握られていて……。
「「……………。」」
その、握られた手に。
俺も、おふくろも、もちろん、彼女も……
一瞬……、黙りこむ。
「………。ごめん。」
多分……、うっかり。
だいたい、好きな女を目の前にして…
手を出さない男なんて……
いない。
だから……、
うっかりってことに……
しとくかな?