ゆきんこ
3月も中旬に差し掛かり……、
春の訪れと共に、背後へと近づいてくる別れの足音。
そんな日々の中を。
私たちは……
何とも私たちらしく、のんびりと……
過ごしていた。
『………お~い、福嶋?』
布団の中、
新野の声だけが……
耳に優しく届いてくる。
「……ん?なに?」
恋してるなあって、実感する。
『……だからさ、来ちゃった。』
「………はい?」
……今……、なんと?
『ちょっと…、窓の外見てみ。』
「……………。」
まさか……。
まさかまさか……!
半信半疑でベッドから飛び起きると、
真っ先にテーブルに足の小指をぶつけ……
「……いたっ……」
ピョンピョン跳ねて、のたうち回る。
『…なーにやってんの?』
電話越しの新野は、私の姿を容易に想像できるみたいで……、
『…まず、落ち着け。』
「……はーい。」
……ちょっぴり、反省。