ゆきんこ
ゆっくりと…
カーテンを開く。
真っ白な雪に光が反射して……
私は思わず、目を細めた。
それから……
ガラリと窓を開けると。
『………おはよう。』
電話越しの新野の声と、
すぐそこにいる新野の声とが……二重に重なって…、
耳に届いた。
本当に……
いた。
「……新野。こんな所で何してるの?」
『……早朝トレーニング。』
「…そんなのしてたの?知らなかったな。」
『おう。今日からだし。』
「…………。」
『朝早くの外は…、気持ちいいぞ。』
にこり、と新野は笑う。
「………電話……切るね。ちゃんと聞こえる。新野の声…。」
私は新野を見下ろしながら。
新野は私を見上げながら……
お互いに、電話を切った。