ゆきんこ




急いで門を出てみると……。






「あ。……いた!」





新野滉、





ただ今…



散歩中のワンちゃんと戯れ中!







……コラコラ、


なぜにご主人様とフレンドリーになってんのさ。







「……新野!」





思わず声を掛けると……





ちっとも悪びれのない顔で、




「遅いじゃん。」




そう言って。





こっちに駆け寄ってきた。








「…さすがに寝起きに走れないから…、歩いてもいい?」




「……。ああ。早朝トレーニングとか、嘘だし。」




「………。知ってる。」




最近君は。



ちょっとだけ、狡さを覚えた。





私の心を鷲掴みする為の、とっておきの嘘を……



いとも簡単に、使いこなす。





私も知っていて……騙されたフリをする。








「……てかさ…、電話でいいのにね。家に行く約束したいなら。」




「……いーじゃん。別に。」




「ただ会いたかっただけの癖に。」





「…………。」






どっちが一枚上手なのか?




そんなのは、もうどうでもいいことであって……。






「……ま、いっか。」






どちらともなく、手を繋ぐ。





< 202 / 234 >

この作品をシェア

pagetop