ゆきんこ


大学は、地元の…大学。

電車もバスも1時間待ちを余儀なくされるから、自転車や車で通学する人が多い。


朝、必ず通る…あの、バス停。
私達が着た、あの制服を身に纏って。

今日も…寒そうな生足の女子高生は、バスが到着するのを、今か今かと待っている。


「……早いなあ…。」


信号待ちの車内から、そんな光景を眺めては…ふうっと溜め息をついた。


この場所で、彼と初めて話をしてから……もうすぐ、1年になるのだから、この時の早さに驚かされる。

あの時が……きっと、一番キラキラしていた。

雪が太陽に照らされて、眩しいほどに輝く様と…あの頃の日々の思い出は。

まるで重なり合うようにして…溶け合うようにして、同じもののようにさえ…思えるほどに。

綺麗で、深い印象を残していた。






今、新野と私との間には…それを越えるようなものはないだろう。


彼は、東京の大学へと進学し…物理的に、大きな距離が出来た。

離れたって、大丈夫。…と、そんな自信はどこに行ったのか?



最後に連絡取ったのは、1週間ほど…前。
便りがないのは元気な証拠。

元々、自由気ままに人生を楽しむような人だ。
恐ろしいくらいに順能力も、ある。


きっと、新しい環境で…充実したキャンパスライフを送っているのだろう。



そう、思うようにした。

そうしたら、必然的に……心の距離も開いてしまった。


出会った当初から、毎朝毎晩連絡取り合うことは…殆どなかった。

日中に限って言うと、最も音沙汰なかった。


学校にいる時間は、互いの生活に踏み込むことは…ない。

その代わり、通学時間…自分がフリーになったときに。
アクションを起こしていた気がする。



そう、つまりは今……

生活のペースが合ってはいない。


大学でも続けているバスケは、以前のそれよりもとても…厳しい。

私もまた、バイトを始めたこともあり…どのタイミングで連絡を取ったらいいのかが、全くと言っていいほどわからない。

こっちから連絡しても、
あっちから連絡が来ても、
タイムリーにそれに応える事が…難しいのだ。


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