ゆきんこ

「そーだ、今日…幸も参加だったよね。」

「……?何だっけ?」


昼―…

学食でオムライスを頬張りながらぼうっとしていた私に、友人が声を掛けてきた。

会話に参加していなかったせいで、今の話題に…乗り遅れてしまう。


「サークルの忘年会。アンタにバイトのシフト聞いたじゃん。」


「……。忘れてた。あっぶなー。今日もバイト行く気満々だった!」

「もー…、ホントぼうっとしてるんだから!それでバレーになると何であんなに素早いのよ。……で?彼氏に反対でもされた?」

「ううん、話してもいない。」

忘れてたし…、反対なんて、逆の立場でもしないだろう。

友達とワイワイやってる、そんな彼が…好きだったのだから。


「へえー、じゃあ束縛なんて一切なさそーだね。」

「ナイナイ。」

捕まえようにも、できない人だしね。

「それ、逆に心配じゃないの?」


「…………。」

「例えばアッチはバリバリの運動部でしょう?飲み会とか、これから派手にあるんじゃない?」

「ンー……。…多分?」

「都会の子って洗練されてるし、遠くの彼女より近場の女の方が……ってなったらマズイじゃん?」

「……………。」


「てか、あまり…彼氏の話、聞かないね。アンタら上手くいってるの?」

上手く……?

「さっき、何考えてた?全然上の空で、一人茅の外じゃない。ひょっとして、恋わずらい…?」


患うほどのこと、何にも…ない。
喧嘩だって、しない。

振られた訳でも、愛を語り合う訳でもない。


ただ、何でもないことを…
共通の話題にもならないような事ばかりを。
時折、送り合うだけ。



「……このオムライス、美味しいかな?って…考えてた。」


「へ?まあ、女子人気高いくらいだし、私は美味しいと思うけど…?」


「うん、そうだよね。」


なんの話?って具合に、友人一同は首を横に捻る。



「……恋煩い…、かもなあ。」


だって、ね。
今私が思い描いていたのは……このオムライスじゃあない、味。

クレイジーソルトで卵が味付けされた、新野が作ってくた…優しい味。




今日の私は、何だか…可笑しい。



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