ゆきんこ


「…え?〇〇〇だけど…。」



「おっ。ならちょうど明日俺もボードしにゲレンデ行くんで、よかったら乗っていきます?つっても兄貴の車だけど。」



……スノボするんだぁ。
カッコイイだろうな。


いや、でも見ず知らずの人誘うって……。




「マジ?お願いしていい?」



アンタもお願いしちゃうんかい。


「全然オッケーっすよ。えっと…、ケータイ……。」



彼はポケットからスマフォを取り出す。



「…………!」



あ!わたしと同じ機種!




「俺、新野滉っていいます。」



「あ。田中大治です。」



二人は妙に照れながら、番号交換をすると…



「…詳しいことは後で連絡します。」




にっこりスマイル!




いいなあ、私も言われたい。




「んじゃあアクセル踏み込まないで、ゆっくりと踏んで下さい。動いたら止まらないでそのまま真っ直ぐホテルに向かうといいかも…。もしまたハマったら俺に電話して下さい。多分JA〇呼ぶより早いですよ。」



「わかった。ありがとう。」




か、かぁ~こい~!!



戻ってきた新野滉は、何やら楽しそう。



「ごめん。じゃあ…もう一回!」




再び、私たちは押して…………




ようやく、脱出成功!




プッとクラクション音を鳴らして……
車はそのまま走り去って行った。






「………ふぅ~……。」




「……お疲れ様。」



「そっちこそ。あ…、巻き込んで悪かったな。」



「ううん、少しでも役にたったなら良かったけど…。」



「ん。助かった。でも…それにしても、昨日といい今日といい、雪のトラブルが続くな。」




じい~っと彼は、私を見て……




「アンタ、もしや雪の申し子?名前からしてそうだろ。」



むむっ……。



「残念!私は『幸せ』のユキです。」



「へぇー、そうか。」



新野滉はさほど興味もなさそうにして……


携帯をいじり始めた。



ちょっ……、
会話中に携帯?


……失礼な…。




「……名字は?」


「へ?…あ…、福嶋です。」



「うん、わかった。……番号は?」




「………はい?」




な……なにを……?




「携帯番号、教えてよ。」




「…………?!」




「…あれ。……ダメ?」




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