ゆきんこ
思えば朝から……彼の事を考えている。
最後に会ったのは、夏休み。
盆に合わせて帰郷した新野が、地元にいたのは…たったの3日。
お墓参りして、家族と過ごして、友達と…遊んで。
それから、私と1日…会って。
幸せな時間は、嵐のようにあっという間に…過ぎ去った。
今日の朝は、とても冷えていて…。
霜が降りた外の景色は…白く、雪にとてもよく似ていて。
地面を踏む度に鳴る音もまた、氷の上を割って歩いているようで。
彼に会ったあの季節を……
あの、日々を。
思い出してしまった。
だからだろうか……?
鳴らない電話が、いつも以上に気になってしまうのは……。
「今日は、まあ…気晴らしのつもりでさ。っていっても、ウチらまだお酒飲めないし、食い専でヤケ食いってことで…、ね?」
「……だね。」
「……それに、アンタが来るって聞いて相模先輩すごーく嬉しそうだったしね。」
「ん?」
「まあ……少しは考えてみるのも…いいかもね。」