ゆきんこ
二人並んで……
エコバックを抱えて歩く。
「……。さすがに米は重くね?」
「いや、大丈夫。いつものことだから。」
「小さいのに力あんね。」
「まあ…、うん。」
それより私は……
この状況がまず信じられない。
緊張しすぎて………
重みすらどっかにとんでいくよ!
「…………。どれ。」
ぐいっと…、
新野から米を奪われそうになる。
「いいって。どう見てもそっちの方が荷物多いし!」
しばらく二人で……
エコバックの持ち手を引っ張り合う。
「ぉお……?背筋もあると見た。」
力は緩めず、おそらく手加減してるだろう新野は感心したような、呆れたような、そんな笑顔。
見とれていると……
「………楽勝♪」
油断した。
アッサリ彼の元へと渡る。
「……すみません。」
結局持ってもらうことに。
この優しさも……
絶対天然だよな。
例えばここに荷物をいっぱい持ったおばちゃんがいたとして……
迷わず手を貸しちゃうみたいな。
………。って、私はばあちゃんかい?
しばらく黙々と歩いていると……。
「うおっ!?」
突然、新野が叫ぶ。
「…?!」
彼がぐるんと後ろに振り返る。
………と、その視線の先に……
「………油断しただろ、ばーか。」
口の悪い
小さな少年。
「……陸。てめー……」
「………。」
りく?
よくよく見ると、少年の手には雪玉が……。
そして……
ちょうど、新野のお尻の辺り。
それがぶつけられたのか…
雪が付着していた。
「……50年早いわ、俺に勝とうとは。」
ニヤリと笑ってその大きな身を屈めると……
新野は雪を掴んで、ギュッギュッっとそれを握り固めた。
まさか……?
少年は、2・3歩後退りして……
慌てて背を向け、一目散に逃げていく。
しかし時は既に遅し。
少年の背中にボコッと雪玉が当たってしまう。
「…大人げないぞ!卑怯だ!」
「俺はまだ大人じゃねーし。」