ゆきんこ
「女に嫌われるぞ!」



「『女』とか言うな、ケツの青いガキんちょが。」



「うるせー!」




「…………。」



なんなの、この二人……。



どっちも口悪いっていうか…



口調、似てるし。



それに。



んん……?なんか、顔も似てない?







「…ああ、アレ?俺の弟。」




………お、弟?!



「え、だって小さくない?!何年生?」



「ああ見えて、3年。チビでよく1年と勘違いされるから……無駄にデカい俺にヤキモチ丸出しっ。」


『無駄に』って……。


私は思わず吹き出す。




そんな私達を見つめる少年は……。



うん、


きっと小さい頃の新野がそうだったであろうというような……



かわいらしさがある。



将来のイケメン候補(?)。




「コラ。じっと見るな、そこの『チビ』。」



カワイイ容姿と裏腹に……



生意気な言葉が私の心をちくりと刺す。




「バカっ、チビに『チビ』って言っちゃダメだろッ!」



すかさずフォローする新野だけど……



言っちゃってるよ、君も。




「ちょい待ってて。」



新野は私にそう断ると……



逃げ去る弟くんにあっという間に追いついて、



何やらがんじがらめにする。





「……ホラ、今のうちに仕返ししてやれッ。」



どっちが子供なんだか……。



そんな、小学生と対等な彼に笑いが込み上げるけど……。




二人の姿があまりに微笑ましくて……


ずっと見ていたい気さえした。




「……ヨーシ、待ってろよ~!バレー部必殺をお見舞いしちゃう♪」




わくわく…といった笑顔の新野と、


「…げ。」っと顔をしかめる陸くん。







私は屈んで雪を握る。






「……イテテ……、おい、早くしろって。」



陸くんが新野の腕の中で暴れる一方で……



毛糸の手袋に雪がくっついて、慌てる私。



「…面倒くさいッ。」



短気な私は手袋を投げ捨てて……



素手で雪に挑む。





出来上がった雪玉は、とても…上出来。



私は左手に持って、




「西中キャプテンをナメるなよ~ッ。」




それを、宙に上げる。




< 25 / 234 >

この作品をシェア

pagetop